テレビのニュースでも熱中症のリスクを示す指標である暑さ指数を伝えるようになりました。

ただ、テレビやインターネットで得られる暑さ指数の数値はあくまでも予測で、実際にスポーツを行う場所の暑さ指数とは異なるため、実際のスポーツ現場で暑さ指数を測定することが推奨されています。

実際のスポーツ現場で暑さ指数を測定する方法は、屋内と屋外では異なるため、今回は屋外で暑さ指数を測定する方法と、測定する上での注意点を解説します。

暑さ指数(WBGT)とは?

暑さ指数とは、熱中症を予防するために提案された1つの指標です。

暑さ指数の単位は、気温と同じ摂氏度(℃)で示されていますが、気温とは違います。この暑さ指数は、人体と外気との熱のやり取りに着目している指標で、人の熱のやり取りに大きな影響を与えている気温だけではなく、湿度と輻射など周辺の熱環境を含めた3つを取り入れた指標です。

屋外の日向の場合には、暑さ指数は下記のように定義されています。

暑さ指数=0.7 x 湿球温度 + 0.2 x 黒球温度 + 0.1 x 乾球温度

屋外で暑さ指数を正確に測定するためには、黒球付きの暑さ指数計が必要です。室内で暑さ指数を測定する場合には、黒球がないタイプの暑さ指数計を使います。

また、日向では、暑さ指数計自体が熱くなりやすいため、正確に測定するためには計測器の内部に熱がこもらないように外気を取り入れる通気口が必要です。

屋外での暑さ指数の測定方法

暑さ指数の測定方法の原則は、実際にスポーツをする現場で測定することです。

人工芝でサッカーをするのであれば、人工芝の上で、トラックで陸上競技をするのであれば、トラックの上で測定します。

黒球で輻射熱を測るので、どこで暑さ指数を測るのかがとても重要です。

黒球を日射に当てるようにして、地上から1.1m程度の高さで測定します。

地上からどれくらいの高さで測定するかについては、所属や関係している団体のガイドラインに従うようにしてください。サッカーの場合には、プレーヤーの身長の2/3の高さと設定されています。

黒球を日射で当てるようにして、設定された高さで測定しますが、すぐに値を記録するのではなく、値が安定してから測定値を読み取るようにしてください。

値が安定するには10分程度必要です。

暑さの中で暑さ指数計を10分程度持って測定するのは大変ですので、三脚などを利用してください。

また、暑さ指数を測定するのは、スポーツや運動をする前だけではなく、スポーツや運動中にも継続して、暑さ指数を測定し、熱中症のリスクを把握します。

屋外での暑さ指数を測定する上での注意点

熱中症のリスクを把握するために暑さ指数を正確に測定することは重要です。

スポーツ現場での測定でよく見かけるのが、暑さ指数の計測器の黒球が日陰の中にあって測定している光景です。

黒球が日陰にあると、太陽からの熱を正確に測定できないため、黒球温度の値が低くなり、暑さ指数の値は低くなります。

また、朝礼台や地面に置くと、朝礼台や地面の熱さの影響を受け、黒球温度の値が正確に測定することはできません。特に、夏の時には朝礼台や地面は熱くなっていることが考えられるため、黒球温度の値は高くなり、暑さ指数の値は高くなります。

黒球を握ることも黒球温度の値に影響を与えるので、手で暑さ指数の計測器を持って測定する場合には、黒球を握らないようにしてください。

黒球を握らないように計測器を持とうとすると、通気口を塞いでしまう場合があるので、計測器のどこを持って測定するかは非常に大切です。

通気口を塞いでしまうと、計測器内に熱がこもってしまう恐れがあります。

【まとめ】屋外での暑さ指数の測定方法

実際にスポーツをする現場で暑さ指数を測定するときには、黒球を握ったり、通気口を塞がないように気をつけながら、黒球を日向にあることを確認して、値が安定するのに10分待ち、計測値を読み取るようにしてください。

暑さ指数の計測器の位置は基本的には地上から1.1m程度ですが、所属している競技団体のガイドラインや暑さ指数計の取扱説明書を参考にしてください。