労作性熱射病から命を守るためには、労作性熱射病を発症してから30分以内に深部体温を39℃以下に下げることです。
発症してから30分以内に深部体温を下げるためには、1分間にどれくらいの効率で深部体温を下げることができるかの冷却効率を知っておく必要があります。
今回の記事では、冷却方法を冷却効率で比較して解説します。
労作性熱射病から命を守るための冷却効率の条件とは
労作性熱射病では、深部体温が40.5℃以上になります。スポーツや仕事などの身体活動を伴った労作性熱射病では、深部体温が42.0℃や43.0℃まで高まったと報告されています。
深部体温を42.0℃から39℃以下に下げるためには、3℃下げる必要があります。
30分以内に深部体温を3℃下げて39℃以下にするためには、少なくとも1分間に0.10℃以上の冷却効率のある冷却方法を選択しなければなりません。
また、深部体温が43.0℃の場合には、4℃下げる必要があるため、0.13℃/分以上の冷却効率のある冷却方法を選ぶ必要があります。
冷却効率が0.15℃/分以上の冷却方法
冷却効率が0.08〜0.14℃/分の冷却方法
冷却効率が0.08℃/分の冷却方法
注意しなければならないのは、労作性熱射病を発症してから30分以内という点で、身体冷却を始めてから30分以内という意味ではありません。
労作性熱射病の救急対応として望ましい冷却方法
冷却効率が0.15℃/分以上の冷却方法が労作性熱射病の救急対応として望ましいとされています。
この条件に合う冷却方法は下記の冷却方法になります。
- 2℃の氷水の中に全身(首の下)を漬ける氷水浴法(アイスバス法): 0.35℃/分
- 冷たい水の中に全身(首の下)を漬ける冷水浴法(アイスバス法): 0.25℃/分
- 1℃から3℃の氷水の中に半身を漬ける氷水浴法(アイスバス法): 0.20℃/分
- 8℃の氷水の中に全身(首の下)を漬ける氷水浴法(アイスバス法): 0.19℃/分
- 20℃の冷たい水の中に全身(首の下)を漬ける冷水浴法(アイスバス法): 0.19℃/分
- タープやブルーシートの中の9℃の氷水の中に漬ける氷水浴法(TACO): 0.17℃/分
- 5℃の冷たい水の中に全身(首の下)を漬ける冷水浴法(アイスバス法): 0.16℃/分
- 14℃の冷たい水の中に全身(首の下)を漬ける冷水浴法(アイスバス法): 0.16℃/分
- 冷たい水の中に手足を漬ける方法: 0.16℃/分
- 1℃から3℃の氷水の中に胸骨部まで漬ける氷水浴法(アイスバス法): 0.15℃/分
労作性熱射病の救急対応として許容範囲内の冷却方法
冷却効率が0.08〜0.14℃/分の冷却方法が労作性熱射病の救急対応として許容範囲内とされています。
この条件に合う冷却方法は下記の冷却方法になります。
- 全身に12℃の水をかけ続ける水道水散布法+アイスマッサージ: 0.13℃/分
- 涼しい場所で扇風機に当たる: 0.11℃/分
労作性熱射病の救急対応として不適切な冷却方法
冷却効率が0.08℃/分未満の冷却方法が労作性熱射病の救急対応として不適切とされています。
この条件に合う冷却方法は下記の冷却方法になります。
- 全身に20℃のシャワーをかけ続ける水道水散布法: 0.07℃/分
- 全身に15℃の水道水をかけ続ける水道水散布法: 0.05℃/分
- 室温22℃の環境で、扇風機に当たる: 0.03℃/分
- 首や脇の下、鼠径部を走行する大きな血管を氷嚢を当てる動脈アイシング: 0.027℃/分
注意しなければならないのは、熱疲労の応急手当として実施している動脈アイシングをしてはいけないというわけではありません。
動脈アイシングは冷却効率が0.08℃/分未満のため、動脈アイシングのみで対応してしまうと十分に深部体温を下げることができないため、他の冷却方法と併用することは可能です。
深部体温を効率よく下げるためには、なるべく広範囲に全身を冷やすことです。
