暑さは、運動時の体温調節と競技パフォーマンスに影響を及ぼします。

スポーツをする環境条件は、継続時間の長さ体温上昇の大きさによって競技パフォーマンスがマイナスにも、プラスにも影響します。

今回の記事では、暑熱環境下における競技パフォーマンスへの影響について解説します。

瞬発系運動と持久系運動による競技パフォーマンスの影響の違い

瞬発系運動は、運動を継続する時間が短く、運動による体温上昇が小さいため、それほど問題とはなりません。

一方で、持久系運動は、運動を継続する時間が長く、体温上昇が大きくなるため暑さによって競技パフォーマンスはマイナスの影響を受けやすくなります。

下記のグラフは、気温が25℃未満と25℃以上での平均のパフォーマンスを比較したもので、aは男性、bは女性を示しています。

男性と女性も100mから400mのパフォーマンスが暑さの中ではプラスの影響を受けているのがわかります。

Guy, J.H., Deakin, G.B., Edwards, A.M., Miller, C.M., & Pyne, D.B. Sports Med 45, 303-311 (2015)

上記のグラフは、1999年から2011年に開催されたIAAF World Championships(世界陸上競技選手権大会)の成績からまとめたものです。

英語論文が読める方はぜひこちらの原著論文も参考にしてください!

陸上の100mから400mの種目というよりかは、競技パフォーマンスに影響を与えるのは、運動の継続時間と体温上昇の大きさです。

脱水とパフォーマンス

競技パフォーマンスに影響を与えているのは、運動の継続時間と体温の上昇の2つですが、鍵となるのが脱水の度合いです。

運動の継続時間が長くなるにつれて、体温は上昇していきます。運動によって高くなる深部体温を調整するために、汗をかいて汗が蒸発することによって深部体温を下げようとします。

汗をかき、十分に水分を補給していなければ脱水になります。

1%の脱水:深部体温が0.3℃上昇+体温調節機能の低下

2%の脱水: 持久性運動能力の低下

3%の脱水: 瞬発系、パワー系能力、認知機能の低下

逆に考えれば、100mから400mの種目でも、スタート時に3%以上の脱水状態であれば、パフォーマンスは低下すると考えられます。

どのような競技であれ、高いパフォーマンスを発揮するためには、体温を上昇させないためには、食事を含んだ水分補給と身体冷却の戦略が重要になります。

また、練習やトレーニングの場合でも、深部体温が上がり、脱水にならないようにどの競技でも水分補給と身体冷却をどのように取り組んでいくかは、熱中症予防という観点だけでなく、高いパフォーマンスを発揮するためのコンディショニングという観点でも重要になってきます。