スポーツや運動中に攣りやすい部位の1つがふくらはぎです。

運動誘発性筋けいれんの応急手当は、水分・塩分補給とストレッチです。

今回は、ふくらはぎが攣ってしまったときの応急手当としてのストレッチ方法を紹介します。

練習や試合中にふくらはぎが攣ってしまったときに、すぐにストレッチができるのは指導者ではなく、一番近くにいる選手たちです。

ジンノウチ

ぜひ、指導者や保護者の方々は、ご自身が応急手当としてのふくらはぎのストレッチ方法を知って、実践できるようになるだけではなく、選手たちもできるように教えていただけたらと思っています。

よく攣るふくらはぎの筋肉について

具体的にふくらはぎのストレッチを紹介する前に、ストレッチの対象であるふくらはぎの筋肉について少しだけ解説させてください。

筋肉について学ぶことによって、より効果的・効率的なストレッチをすることができます。

ふくらはぎには、主に腓腹筋とヒラメ筋という2つの筋肉があります。

この2つの筋肉の中で攣りやすいのは、膝と足首をまたがっている腓腹筋です。ヒラメ筋は、膝をまたがずに、足首だけをまたがっています。

腓腹筋とヒラメ筋はダッシュやジャンプなどで大きな力を生み出しています。特に、後方から前方への速い切り返しの動作では大きな負荷が加わります。

また、ダッシュやジャンプは、足首、膝、股関節など複数の関節に関与している筋肉が大きな力を発揮しなければなりません。

特に、股関節は大きな筋肉がまたがっているため、この股関節の使い方ができていない選手は、股関節の代わりに膝や足首で力を生み出さなければならないので、膝や足首にはさらなる大きな負荷が加わり、ふくらはぎや太ももの筋肉が攣りやすくなる原因となります。

ふくらはぎのストレッチの方法

ふくらはぎに限らず、ストレッチのやり方は、自分でストレッチするセルフストレッチとストレッチされる人はリラックスした状態で誰かにストレッチしてもらうパートナーストレッチの2つの方法があります。

運動誘発性筋けいれんで攣ってしまった場合においては、よりリラックスした方が効果的なので、パートナーストレッチを選ぶようにしてください。

ふくらはぎのパートナーストレッチ

① 仰向けに寝る

ふくらはぎのパートナーストレッチをするためにはまず仰向けに寝る必要があります。練習や試合中に足が攣ってしまった場合には、プレーの邪魔になってしまうのでちょっと水分補給などをしてから、サイドラインやベンチ付近、木陰などに連れて行く場合もあります。

ジンノウチ

運動誘発性筋けいれんの原因や症状、応急手当、予防については、下記の記事で解説しています。

ぜひ、読んでみてください。

② 足が攣ってしまった方の足の踵を包み込むように持って、前腕部で足裏全体を固定する

可能であれば、靴やシューズは脱がした状態で行って欲しいですが、早くストレッチしたい場合には、そのままで行います。

片手でやる場合には、足の踵を包み込むようにして持ちながら、前腕部で足裏全体を固定するような姿勢をとるようにしてください。

③ 膝を伸びている状態を保持しながら、つま先が頭側に向くようにストレッチする

腓腹筋は、膝と足首をまたがっている筋肉なので、両方の関節を伸ばす必要があります。

膝と足首の両方とも伸ばすためには、膝が曲がらないようにもう1つの手で押さえます。

膝が曲がらないように、膝を伸ばした状態にしながらふくらはぎをストレッチするためにつま先を頭側に向けるように動かしてください。

ストレッチをするときだけではなく、運動誘発性筋けいれんの場合には常に深呼吸することによってリラックスしてもらうことが重要です。

また、ストレッチする際にはゆっくりと伸ばすことが重要です。急に動かしてしまうと、反射によって力み、さらに痛みが増す原因になります。

体格の大きい人をストレッチする場合

もし、足が攣ってしまった選手の体格がストレッチする人よりも大きい場合には、より体重を利用してストレッチできるように、片手で踵を支持して、もう一方の手でつま先を保持しながら、自分の胸などに当てます。

そして、踵を保持したまま、自分の体重を利用して、つま先を頭側に向けるようにしてストレッチしてください。

ふくらはぎと太ももの裏側をストレッチしたい場合

ふくらはぎだけではなく、太ももの裏側も攣っている場合には、もっと足を上げるようにして、股関節を屈曲させていきます。

このようなときには、肩に踵やアキレス腱がくるように乗せた状態で、足を乗せていない手で膝が曲がらないように押さえ、足を乗せた方の手でつま先が顔の方を向くようにストレッチするようにしてください。

ふくらはぎのセルフストレッチ

周りに助けてくれる人がいないときや、何か筋肉に違和感を感じたり、ピクピクするような軽度の場合には、パートナーストレッチではなく、セルフストレッチで筋肉を伸ばすことも有効です。

両手を地面について、「く」の字の状態で、攣っている足の踵が浮かないようにもう一方の足で押さえます。

もし、痛みがある中でもセルフストレッチをしながら、深呼吸することによってリラックスした状態になれれば、セルフストレッチの方が自身の体重を使ってストレッチできるため、効果的だと考えている専門家もいます。

ジンノウチ

ただ、ある程度、リラックスした状態でセルフストレッチができるという前提があるので、実際にはなかなか難しいというのが本音です。

ふくらはぎが攣ったときのストレッチのまとめ

ふくらはぎが攣ったときには、水分補給しながら、なるべく深呼吸してリラックスした状態でパートナーストレッチをするようにしてください。

ある程度、パートナーストレッチによってふくらはぎの攣り具合が収まったら、パートナーストレッチからセルフストレッチに変更するのがより効果的な応急手当の手順だと思っています。

運動誘発性筋けいれんのストレッチでは特に、深呼吸してなるべくリラックスすること、そして急に動かさずに、ゆっくりと動かしてストレッチすることが重要です。